5/1 ファーマーズマーケット@神奈川に出品します
物事の見方や考え方が180度変わる経験などそうそうない。
何かをみる目は30年間顔にくっつけてきた自分の目に他ならないし、脳のしわは過去の自分が少しずつ刻んできた(あるいはつるつるに磨いてきた)ものに他ならない。自分の考えていること・思うことは、過去の自分と地続きになっているから、何かが変わると言ってもせいぜい8度くらいが限界である。30年も生きれば尚更だ。
わたしはグリーンピースが嫌いであった。
給食が豆ご飯だった日は、先生の目を盗んで盛られたご飯を全て配膳箱に戻すという悪行を働いていた。20年前にすでに炭水化物ダイエットをしていたのはわたしくらいであろう。あるいは、ハヤシライスに入っていたグリーンピースをちょこちょこ隣の席の子の皿に移すことに余念がなかった。子どもというのは大変である。
おとなはいい。特に自分の家庭を築けば、自分の嫌いなものを食卓に並べないという選択を取ることができる。これは、“わたしが結婚してよかったと思うこと”第3位である。
したがって、グリーンピースはわたしの視界から消え、その存在を思い出すこともなく、じゃんけんほいほいをするときくらいしかその名を口にすることなどなかった(わたしの地元では、「じゃんけんほいほいどっち隠す/こっち隠す/あんたばかね/グリーンピース」という掛け声だった)。
誰やねん。我々の畑にグリーンピース植えたやつ。
突如として、望む望まざるに関わらずグリーンピースがわたしの人生に関わってきた。
そんなグリーンピースが先日、種まきから半年足らずの時を経て収穫を迎えた。
むっちゃできるやん。「すずなり」の例文かよ。
自分で作った野菜というのは愛おしい。例え大嫌いなグリーンピースでも、「嫌いやから」という理由で全く口にしないなんてことは、腸がずたずたに断たれてもできない。
一つさやをもぎ取り、中を開けると緑の豆が顔を出す。正直かわいい。舞踏会に招かれたならスパンコールの代わりにドレスにあしらっていきたいほどかわいい代物である。この時点ですでにグリーンピースへの気持ちが45度変わっている。
20年以上ぶりに口に含んでみる。もちろん、採れたてを生で食べるのは初めての体験だ。
あまっ。え、、うま!!!
なにこれ、知ってるグリーンピースと全然ちがう。あの変なもさもさ感と余計な存在感がなく、代わりにみずみずしさと自然の甘みが口の中に広がる。美味しすぎて収穫する手と一粒一粒咀嚼する口が止まらない。グリーンピースが生る畝の向こう側の草刈りをするふりをしながら、夫の目を盗んで呼吸をするようにグリーンピースを食べた。食べまくった。
今まで食べてたグリーンピースは一体何だったのか。あの偽グリーンピースは、日当たりの悪いドブのそばで、ネガティブな言葉を浴びせられ続け、汚いおっさんに育てられたものにちがいない。そして、偽グリーンピース農家と教育委員会が癒着しており、既得権益を守るため給食に出てきたんやわ絶対。あーこわ。
こんな感動はなかなかない。農業をしてよかった、と思う瞬間である。嫌いなものが好きになる。180度変わるというのも悪くない。
これはたくさんの人に味わっていただきたい!と思っていた折、タイミングよくmicrobeさんがファーマーズマーケットを開催されると聞きつけ、出品のお願いをさせていただいたところ、こころよくOKのお返事をいただけた。
microbeさんは、徹底的にこだわり抜き、人と自然に優しい野菜を作る職人的農家さんである。そんなこだわりがぎゅっと詰まっているイベントの第一回目に少しでも参加させていただけることは、身にあまる光栄だ。
グリーンピースが嫌いな人も、舞踏会の衣装に困ってる人も、ぜひ遊びにきてください。
[farmers market by microbe]
2016.5.1 sun
10:00 - 14:00頃
詳細はリンク先をご覧ください。
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