あなたは種から派?苗から派?夏野菜の準備にとりかかる。

こんにちは、夫のほうです。

最近雨が多い。今の時期は夏野菜の準備期間に当たるため、土を耕したり畝を作ったり色んな作業をしなければならない。しかしこれがなかなか進まない。週末のたびに雨が降るからだ。

そうやって足踏みしている間に、今度は雑草がぐんぐん伸びてくる。春の柔らかい陽射しを浴びてぐんぐんと。雑草が伸びた状態では土を耕せない。だからまず草を刈る作業が必要になる。やっと草を刈ったらまた雨。雑草が伸びる。無限ループだ。

晴耕雨読なんて理想論、そんな簡単に実現させないぞという天候の強い意思を感じる。雨読、雨読。




とはいえただ足踏みしているだけではない。並行してもうひとつの重要な仕事に取り組んでいる。夏野菜の苗づくりだ。

野菜作りを始めるにあたっては「種から育てる」「苗を買う」のどちらかを選ぶことになる。一般的にアマチュアは苗を買うべきと言われるが、個人的には種から育てる方法をおすすめしたい。

農業の世界には「苗半作」という言葉がある。健康で丈夫な苗を作れたら半分は成功したようなもんだ、という意味だ。それほど、苗の状態によって収穫量も質も大きく変わってくる。

ただし、苗づくりは難しい。天候や環境に大きく影響を受ける。栄養を吸収する力が弱いし、病気や害虫への抵抗力もない。そのため育てるのがとても難しいし、必然的に手間もかかる。このあたりは人間と同じだ。人間も赤ちゃんから成人するまではめちゃくちゃ手がかかる。


そのため、プロの育てた苗を買うと難易度が格段に下がる。成人した苗なら放っておいても育つし身体も強いから病気になりにくい。実際、僕が昨年苗を買って育てたナスやオクラは、ほぼ何もしなくてもたくさんの実をつけてくれた。


しかし、苗を買うことも良し悪しだ。


まずお金がかかる。肌感覚だが、種から育てる場合の10倍以上の出費を覚悟しなければならない。誰かが一生懸命育てたものだから当たり前なのだが、日々コスト削減に励む零細農家はここに出費を割けないのが本音だ。


それから、選べる種類が少ない。苗作りの業者(という人たちがいます)は需要の大きな苗をまとめてたくさん作りたい。苗作りだって製造業なのだ。必然的に、需要のある=一般的な種類の苗ばかり市場に並ぶことになる。珍しい野菜の苗はひどく手に入りづらいし、あったとしてもめちゃくちゃ高い。

その反面、種から育てる場合はコストがかからず、選択肢も格段に増える。そして何より、やれることは極力自分でやってみる方が、学びや気づきがあって面白い。生涯学習はこれからの人類のテーマである。

ただしそもそも日当たりが悪いとか、スペースがないなどの事情は当然ありえる。当たり前だがその場合は苗を買うべきだ。柔軟に楽しんでもらいたい。




そんなわけで僕は種から育てることに挑戦している。嬉しいことに、種まきから2週間弱、ちらほらと芽が出始めている。



今回は種の種類にかなりこだわった。熟慮の結果、「馴染みの深い野菜。それでいてレア度が高く、味も見た目も良い品種。」に絞り、ヨーロッパの種を中心にセレクトした。


今はインターネットで何でも手に入る時代だ。探せば世界各国の種が買える。しかしその分選ぶのも大変だ。トマトだけでも数百種類は下らない。選定は困難を極めたが、満足のいく判断が出来たと思う。なにせ2週間は種のことだけ考え続けたのである。


ヨーロッパの種を扱う業者はたくさんあるが、今回は特にナチュラルハーベストさんのお世話になった。ラインナップが豊富で、説明も丁寧で分かりやすい。購入した種が在庫切れになってしまった際は、電話で似た品種を提案してくれたりと、フォローも手厚い。価格は決して安いとは言えないが、良い種との出会いが保証できる。





最後に、今期を彩る精鋭たちの中から、既に発芽している面々の一部を紹介したい。(写真は全てナチュラルハーベストより)


"Tigger"という名の小玉メロン。アルメニアで代々受け継がれている品種。その名のとおり、表皮が虎のような模様をしている。「天にも昇るような」と評される独特の香りがある。アルメニアではルームフレグランスとして使われることもあったとか。


"Golden midget"という名の小玉スイカ。名前のとおり黄金色の表皮を持つ。その高貴な色合いに恥じぬ味わいを兼ね備えている。ハイエンドなレストランのサマーデザートにおすすめ。


黄金色のズッキーニ、"Goldmine"。スタイリッシュな白いストライプが食卓を彩る。

これ以外にもまだまだたくさんの種類の野菜を育てている。随時紹介していければ良いと思っている。





繰り返すが、苗づくりは難しい。高温多湿で枯れてしまったり、ナメクジに食べられてしまったり。高価な種がいとも簡単に無駄になってしまう。しかし、失敗から学び前向きに再発防止に取り組めば、案外なんとかなる気もしてきている。ここらへんはサラリーマンも農家も変わらないかもしれない。


苗づくりに成功しても先は長い。そもそも野菜が日本の土や気候に合わない可能性だってある。まだまだ余談を許さない。収穫の日を迎えることを夢見つつ、手間暇をかけていきたい。

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