野菜作りは学びの連続。冬野菜の栽培を振り返る。

こんにちは、夫の方です。


先日開催した収穫祭にて完膚無きまでに冬野菜を食べ尽くした我々は、息つくヒマもなく夏野菜に向けた準備を始めました。そう、農家は忙しいのだ(農家じゃないけど)。


思えば、人生初となる冬野菜の栽培は苦難の連続でした。


始める前は、正直「野菜を作るぐらい楽勝やろ!」と思っていましたが、後頭部をガツンとやられる出来事が連続。自然の恐ろしさや、植物の成長を手助けすることの難しさを痛感した我々は、この経験を必ずや次に活かすのだと気を引き締めました。


農業は記録が大事だということで、備忘の意味を込めて2つの事件について振り返ってみたいと思います。




徒長

これが徒長。植物がヒョロヒョロと細長く伸びてしまった状態。徒長した植物は病弱になり、収穫量も落ちる。日照不足や高温など様々な条件で発生する。(画像はhttp://plaza.rakuten.co.jp/negishinouen/より引用)



10月中旬。館山はまだ夏の陽気を残していて、半袖でも充分いけちゃうほどの暖かさ。


急遽畑を貸してもらえるようになった我々は、喜び勇んで冬野菜の種を盛大に蒔き、豊穣を祈った。


そのわずか1週間後、元気に生えそろった新芽を見た時は、心の底が沸騰するような、言いしれぬ感動を覚えたのだった。


しかし、その喜びも束の間。翌週になると、新芽は弱々しく胴体を伸ばし、頭を支えきれなくなりほぼ倒れているような状態に。



原因は明らかだった。「日照不足」。


寒い時期に備え、地面の温度を保つために「マルチ」というビニールシートを張ったのだが、張り方が甘く、マルチと地面の間に広大な隙間が出来てしまっていた。そのために、日光がマルチに遮られてしまい、日光が当たらなくなってしまったのだった。


適切な環境で育った新芽は、広く根を張り、どっしりとした頑丈な茎を作る。その結果、病気や害虫などに負けない強い植物になる。


しかし、徒長してしまうと、不健康で病弱な植物になってしまう。根や茎などの土台にまわすべきエネルギーを、上に伸びるために使ってしまうためだ。



徒長したからと言って育たなくなる訳ではないが、その後虫や病気に悩まされ続けたことが徒長と無関係であるはずはなく、幼少期の健康な環境が如何に大事かということを痛感し続けることとなった貴重な経験であった。





ダイコンハムシのゲリラ的急襲

こいつがダイコンハムシ。別名ダイコンサルハムシ。物凄い勢いで葉が食い荒らされ、気づいた時には葉脈しか残っていない状態に。あまりの大量発生ぷりに、泣く泣く農薬散布を決意。(画像はhttp://soyokaze-jp.cocolog-nifty.comより引用)



種まきから1か月が経過した、11月も末のこと。


徒長した新芽は、決して順調とは言えないながらも成長を続け、少しずつ野菜の形に近づいてきていたのだが、その最中に突如悲劇が訪れた。


ちんげんさいや菜の花をはじめ、多くの野菜が文字通りボロ雑巾のように変わり果てた姿になっていた。土の上や葉の付け根では、大量の黒い昆虫がうごうごと蠢いていた。

ボロッボロになった菜の花。この後も育つには育ったけど、とても病弱でした。




農薬散布に踏み切れない僕は、ホットコーヒーの入っていた紙コップを手に持ち、一匹ずつ捕まえていくことにした。


しかし、捕っても捕っても一向に減る気配がない。2時間ほど頑張り、水を張った紙コップが真っ黒になるほど捕まえても、畑の20分の1ほどしか進んでいなかった。僕は「これは埒があかん」と呟いた。


ようやく観念した僕は農薬の散布に踏み切った。虫は畑から姿を消したが、一部の野菜は立ち直れないほどのダメージを受けてしまった。


一部の犠牲と引き換えに、我々は多くのことを学んだのだった。




虫は発生してからでは対処出来ない。予防に全力を尽くすことが大切。


万が一大量発生してしまった場合は、被害が拡大する前に合理的な判断を。


虫は外からやってくる。畑の中でどこに野菜を配置するかも意外と大事。







これらはいずれも、知識や経験が備わっていれば防ぐことが出来たものでしょう。この学びのひとつひとつが地層のように積み重なって、野菜作りの職人になるその日まで、我々は失敗を繰り返しつつ前へ進むのみなのです!


茨の道を切り開いていくのみである。






(ちなみに。)


農薬についてはまたどこかでまとめたいと思いますが、農薬を「完全な悪」として扱うのはちょっと違うなと考えています。農薬の出現は、虫や病気に悩まされ続けた農家を救い、農業は効率性を獲得し、より多くの人の食卓に野菜が行き渡るようになりました。


また、農薬認可の基準は非常に厳しいため、容量用法を守っていれば農薬が野菜に残留することはなく、人体に影響を与えることもありません(少なくとも日本においては)。


ただ、日本はヨーロッパなどに比べ農薬散布の回数が多いと言われています。我々は、環境保護や持続可能性の観点から、可能な限り農薬を使わない方法を模索していきたいと考えています。




その方が頭使って面白いしね!

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